税理士法人山中税務会計事務所

なるほど税務

超過物納と譲渡所得

2009年4月10日 08:07

 平成18年改正で物納制度が大幅に変更され、実務では物納を手がける機会が無くなりつつあります。その物納制度で、以前から疑問に思っていることが有ります。それは超過物納と譲渡所得の関係です。

超過物納とは相続税額を超える価額の財産を物納することです。原則としてこの超過物納は認められていません。しかし、他に物納適格財産が無く、相続税額相当額に分割してしまうと、残った財産だけでは単独利用が困難となってしまう場合には、例外的に認められます。

当事務所でも過去に何件か土地について超過物納を認められたことがあります。超過物納となった場合、相続税額と収納価額との差額は金銭で還付され譲渡所得税の課税対象となります。

例えば、相続税額8,000万円、物納財産評価額1億円で超過物納が認められた場合には、差額2,000万円は譲渡所得となります。しかし、譲渡所得とし課税するのであれば、譲渡対価は時価でなくてはなりません。所得税法59条1に「譲渡は時価である」と規定さています。

差額2,000万円は相続税評価額です。相続税評価額は時価の80%であるというのが公然の事実ですから、本来であれば国は差額2,000万円を80%で割戻した2,500万円を還付し、譲渡所得税を申告させるべきです。

国に対して、差額500万円還付してほしいと主張してもおかしくありません。今後、超過物納があった場合、納税者の所得税の税率次第では、2,500万円で譲渡所得の申告をして、差額500万円は国に対する寄付金として寄付金控除の適用を受ける申告書を提出してみたら面白いなと思っています。