税理士法人山中税務会計事務所

なるほど税務

解散・清算手続き

2009年4月 1日 23:11

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 開業して間もない税理士が、会社の解散・清算という仕事に携わるのは皆無だと思います。また、経験がある税理士でも会社の解散・清算の手続きを熟知している人は、以外に少ないようです。それは、将来には繋がらない仕事であり、多くの場合は債務超過等のため消極的な仕事になるからです。

 株式会社は、最終の役員登記の日から12年間登記がなにもなされない場合には、法務大臣が公告をした後、職権にて解散とみなします。これを「みなし解散」といいます。確かに、倒産寸前の会社をそのまま放置してしまう事例も見受けられます。

 しかし正直な経営者は、「飛ぶ鳥跡を濁さず」の喩えにあるよう、会社の後始末はきっちり処理しほしいと依頼してくるものです。

 正式の解散・清算手続きには、時間と費用が必要となりますが、書籍等に書かれているすべての手続きを完璧に処理する必要は、実務上はありません。100点満点の手続は不要です。旧商法の時代から会社法に至るまで、「債権者保護」を第一に考えられています。しかし、実際に債権者に迷惑をかけずトラブルが生じないのであれば、省略可能な手続きがいくつもあるのです。時間も費用も大幅に削減が可能です。

 また税務では清算所得が発生する場合であっても、顧客に税務署との接触がないようにすることを一番重要な目的として取組むことが大切です。(当事務所では、清算会社の調査は過去にありません。)解散事業年度では、欠損金の繰戻還付の適用が可能、清算事業年度では、過大役員退職金の損金不算入の適用なしなどの特徴を理解して対処しなくてはなりません。

 株主に同族以外の第三者が存在する場合には、注意が必要です。残余財産分配後に経費等の支出が発生すると株主に負担してもらうことが困難になります。清算事務費用は大目に計上しておくことも実務では大切なポイントとなります。

 ある会計士から聞いた話です。最終的に事務費が数百万円余ってしまいその処分に困まったので、ホテルにてコンパニオン入れて宴会をして1円残らず使い切ったそうです。清算所得金額の計算においては交際費の損金不算入の適用ありませんからと言っていました。・・・なるほど。