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2009年10月14日 19:44
公正証書遺言に基づき相続税の申告書を作成したことは幾度もありますが、今回納税者からの依頼で初めて公正証書遺言の作成のお手伝いをしました。
「お手伝い」とは、実際に遺言を公正証書にするのは公証人の仕事だからです。公正証書の作成をインターネットで検索すると、行政書士・司法書士が有料にて作成するサイトが沢山あります。
しかし、税理士のサイトは見当たりません。遺言の作成には相続及び税金が前提になりますから、税理士が遺言者の為に出来る事は沢山あります。むしろ税理士だからこそ出来る事があると言えます。
今回の納税者からは、相続税の税務相談がありました。相談を進めて行くうちに、父の相続が「争続」になってしまったという自身の苦い経験から、同じ思いを子供達にさせたくないとの思いがあるとのことでした。
そこで、色々な財産の分割案を提示してもらい、各々のケースの相続税額を計算しました。そして、遺産分割後の所得税の問題や、二次相続の問題を検討しながら、遺言による分割案を作成しました。
遺言の原案は、分割案に基づき事務所と公証人が相談しながら作成します。納税者は公証人役場には「締結」の為にだけに一度足を運べば済むように段取りをしました。更に今回は、証人(立会人)に事務所の税理士2名がなりました。
今回公正証書遺言作成に携わってなるほどと思ったのは、「予備的遺言」です。人の死には、順番がありません。万が一、遺言者より先に相続人が死亡してしまった場合には、死亡した相続人に対して遺言した財産は、分割協議の対象になってしまいます。これを避けるには、相続人が死亡した時の財産の分割方法も遺言書に明記する事が肝要です。
公正証書遺言は「原本」「正本」「謄本」の3通作成されます。「原本」は遺言者、公証人、立会人の直筆の署名押印がなされ公証人役場で保管されます。「正本」「謄本」は遺言者に渡されます。遺言執行人(今回は配偶者たる妻。)は、このいずれかにて遺言を執行します。すなわち、相続人の同意なしに預金の解約・名義変更・不動産の登記さらに貸し金庫の開閉をすることが可能になります。
公証人の話によると、公正証書遺言を重要に思うがあまり、遺言者自身の貸し金庫に保管してしまうことがあるそうです。せっかく執行人が全ての手続きを単独で行う事が出来るのに、貸し金庫の開閉に相続人の同意が必要となってしまうのです。なるほど・・・相続人同士の仲が良くない場合には、厄介ですね・・・。
2009/10/14 ky
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