税理士法人山中税務会計事務所

なるほど税務

中小企業の試験研究費

2009年9月 1日 18:02

先日職員から、試験研究費の処理を尋ねられました。担当の顧客が、豆腐製造に使う「にがり」の研究を始めたとのこと。研究室に対する支出と研究のために実際豆腐製造に必要な原材料の支出が、今期あるとのことでした。


「支出の効果が将来に渡って実現すると期待される費用だから、繰延資産です。」さらに「償却は、5年均等償却。」と回答。


恥ずかしながら、明らかに間違った回答でした。勉強不足でした。中小企業では、試験研究費などめったなに無いので、最近の会計や税制の改正では読み流してしまっていました。受験時代の頼りない知識では、判断間違えますねー。


[誤り1]試験研究費は繰延資産ではない!

旧商法では、繰延資産を7項目限定列挙していました。
1)創業費2)開業費3)試験研究費4)開発費5)新株発行費6)社債発行費7)社債発行差金でした。
平成18年会社法改正にともない、繰延資産とは、「繰延資産として計上することが適当であると認められるもの」(会社計算規則106条3項5号)と規定するのみで、具体的には表現されていません。

そこで、平成19年税制改正にて、1)創業費2)開業費3)開発費4)株式交付費5)社債発行費の5項目に整理されました。(法人税施行令14条1項1から5号)


[誤り2]試験研究費の償却は5年でない!

まず、旧商法の時も、「5年内均等額以上」なので随時償却を認めており、記憶違いでした。また、改正後は、「5年内」の制限は無く任意償却となった。(法人税法32条、法人税施行令64条1項1号)


[誤り3]試験研究費には、税額控除あり!

さて、さらに試験研究費については、税理士としはもう一点注意しなくてはなりません。それは、税額控除の適用が受けられるということです。しかも、税制改正により複雑になっています。

イ)「試験研究費の総額に係る税額控除」(措法42の4 、1項)

ロ)「大学、公的研究機関等との共同研究・委託研究に係る税額控除」(措法42の4、2項)

ハ)「中小企業技術基盤強化税制」(措法42の4、6項)

ニ)「試験研究費の増加額等に係る税額控除」(措法42の4、9項)

の四制度が存在します。しかも、二)の制度は、イ)とハ)と別に控除が受けられます。

 
手続きは、明細書(申告書別表6(6)、(7))を添付します。税額控除なのに、この書類だけで済んでしまうのか不思議な気持ちです。

試験研究費とは「製品の製造又は技術の改良、考案若しくは発明に係る試験研究の為に要する費用」を言います。具体的には、その試験研究を行うために要する原材料費、人件費及び経費や試験研究の委託費が該当します。

勉強不足でした・・・・。

2009/09/01 ky