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2011年12月 8日 12:43
今週の火曜日12月6日に税務研究会による「法人税事例検討会」に参加しました。
会場は御茶ノ水にある私の母校である中央大学駿河台記念館です。
法人税事例検討会は、毎年年2回開催されます。この検討会は、著名な講師を招き実際にあった約20の事例について個別検討し、その都度質疑応答するという形式で行なわれます。
東京の税理士だけでなく地方の税理士も出席し、かなりレベルの高い専門的な税務の研修です。
今回の検討会の特徴は、合併、株式分割、株式交換、事業譲渡等の組織再編の事例と減資、自己株式等の資本取引の事例が全体の半分以上を占めていることでした。
監査法人に所属する税理士達には日常業務で得意分野でしょうが、私にはちょっと不得手な分野です。
そんな中、当事務所の事例「合併に伴う借地権」が取り上げられましたので紹介します。
事例
「このたび、企業グループ内の組織再編にともない100%子会社を合併する予定です。親会社には、繰越欠損金65,000万円ありますが債務超過にはなっていません。
子会社は親会社の土地の上に建物を建築し、昭和42年より相当の地代の支払をしています。この地代は改定されずまた「無償返還の届出」も提出していません。
従って、過去の税務処理(株価算出等)では、子会社に自然発生借地権が帰属するものとして取り扱って来ました。
今回の合併では、存続会社株式以外の資産の交付はないので、適格合併に該当する場合には、自然発生借地権は消滅し、存続する会社が建物を簿価で引き継ぐと処理してよろしいでしょうか。」
解説
「100%子会社を吸収合併することから、適格合併になります。適格合併ですから、子会社の資産・負債は税務上の帳簿価額で引き継ぎます。そのため、借地権は帳簿価額がありませんから、特段その帳簿価額を引き継ぐ必要もありません。
借地権を有する法人がその土地保有法人に適格で吸収合併された場合には、借地権は混同(※)により消滅します。
この場合、被合併法人に借地権の帳簿価額がある場合にはその帳簿価額を合併法人の土地の帳簿価額に加算することになりますが、本件は子会社に借地権の帳簿価額がないため何らの処理も要しないことになります。」
(※)「混同」とは、法律用語で相反する権利が同一人に帰属した状態のことをいいます。
民法上物権及び債権の消滅原因として規定されています。(179条・520条)
この事例のスキームは実は、まだ実行されていません。
しかし子会社保有の建物はアスベトを使用したものなので、取壊しも視野に入れているのでスキームは近々実行されると思います。
先日もこの建物のアスベスト除去費用に600万円支出がありました。いくら税法上損金処理が可能であると言っても維持コストが高額です。
なるほど税務(2010年9月)「グループ法人税制と借地権の認定課税」を合わせて読んで頂くと参考になるかと思います。
なお当日の検討会では、「合併が非適格の場合には帳簿価額でなく時価受入れになるので、子会社で借地権を時価認識し収益を計上した上で、親会社が引き継ぐので親会社の土地の価額が時価で計上されることとなる。」との解説も付け加えられました。
2011/12/08 ky
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