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2011年11月17日 17:00
昨年死亡した知人の税理士さんの遺族から、所得税の更正の請求をしてほしいとの依頼がありました。遺族からの電話では、個人事業税を納税したら都税事務所にて還付が受けられると言われたという内容でした。
どうやら準確定申告所を遺族の1人が作成提出したのだが、亡くなった年度の事業税が確定していないため必要経費にしていないとのことらしい。
すなわち所得税法63条の取扱いです。
「居住者が不動産所得、事業所得又は山林所得を生ずべき事業を廃止した後において、当該事業にかかる費用又は損失で当該事業年度を廃止しなかったとしたならばその者のその年分以後の各年分の不動産所得の金額、事業所得の金額又は山林所得の金額の計算上必要経費に算入されるべき金額が生じた場合には、当該金額は政令で定めるところにより、その者の廃止した日の属する年分又はその前年分の必要経費に算入する。」
従ってスタートは事業税の必要経費計上洩れだけの更正の請求のはずでしたが・・・、
当初の申告書の金額を事務所の所得税のパソコンソフトに入力すると、あちらこちらに誤謬を発見。
誤謬は下記のとおりです。
①消費税簡易課税事業者でしたが、課税売上に公的年金の収入が含まれている。
②消費税の未払いが必要経費に算入されていない。
③申告書1表に記載されている青色専従者給与が必要経費に算入されていない。
④基礎控除が適用されていない。
⑤青色申告特別控除が適用されていない。
⑥公的年金が多額に申告されている。
当初申告は平成23年1月4日提出なので、既に10ヶ月以上経過してますから、税務署は内容確認済みで過誤納を把握しているはずです。
仮にこれだけ誤りの多い申告書で過小申告になっていれば間髪入れず納税者に連絡してくるのに、今回のように過大申告で納税者不利の場合は、「知らん振り」とはひどい行政です。
政府は、「社会保障と税の一体改革」の中で、国民の給付と負担の公平性を確保するとの視点から正確な所得等の把握のための「社会保障・税番号制」(俗に言う国民総背番号制)をもくろんでいます。
そして、その行く末には、「記入済み申告制度」が控えていると聞きます。これは税務当局が番号を通じてあらかじめ把握している所得情報を記載して納税者に通知し、納税者は内容確認するだけで申告を終了させる制度です。
今回のように納税者不利のままの情報を知らせ気がつかなければ、それで申告終了となる可能性があります。とても危険だし、納税者自ら申告書を作成し納税するという申告納税制度を否定するもので到底容認できません。
番号制導入のまえに、行政はアナログレベルの段階で所得の適正な把握に努力し、納税者との信頼関係を構築しなくてはその先の制度など有り得ないと思うのですが・・・・。
2011/11/17 ky
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