税理士法人山中税務会計事務所

なるほど税務

グループ法人税制と借地権の認定課税

2010年9月17日 18:39

平成22税制改正ではグループ法人単体課税制度が創設させ、来月10月1日からその適用が開始されます。

 

法人の規模に関係無く株式の100%支配関係にある内国法人グループが適用対象で、直接所有ばかりでなく間接所有も含みます。税法上これを「完全支配関係」と定義し条文では、「完全支配関係とは、一の者が法人の発行済株式等の全部を直接若しくは間接に保有する関係(当事者間の完全支配の関係)として一定で定める関係又は一の者との間に当事者間の完全支配の関係がある法人相互法人相互の関係をいう。」と規定しています。なお、「一の者」が個人の場合には、親族を含みますので、我々税理士にとっても無関心ではいられません。

 

概略としては、「グループ法人間で一定の資産の移転があった場合には、その時点では資産の譲渡損益に対する課税は行われず、グループの外にその資産が移転した時等に、

元々資産を所有していた法人に対して譲渡損益の課税が行なわれる。」というものです。

そして、この一定の資産を「譲渡損益調整資産」といい固定資産、土地等、有価証券、金銭債権、繰延資産であり、棚卸資産、売買目的有価証券と移転直前の帳簿価額が1,000万円未満の資産は除外されます。

 

親会社の所有する土地に、完全子会社が建物を建築し権利金の授受をせず何十年間も相当の地代(非スライド方式)の収受をして、子会社に自然借地権が発生しているという当事務所のお客様がいます。

今回既存建物を取り壊し新たに建物を建築するに当り、立退料の支払をしないで地主である親会社の名義で建物を建てると、借地権の譲渡があったものとして子会社に借地権の認定課税が発生します。子会社には借地権は帳簿価格ゼロなので、「譲渡損益調整資産」には該当しないので、改正による課税の繰延べの適用は受けられないこととなります。グループ法人内での損益は課税しないというのが本来の改正趣旨なのに・・・。

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グループ法人税制と借地権の認定課税の書籍はまだあまり見かけませんが、「新しいグループ企業の税制と実務対応」(新日本法規)には、借地権の設定時の入り口課税について触れている記述があります。ちょっと疑問になる表現もあるので、今後研修や書籍で情報収集をしたいと思っています。

2010/09/17 ky