税理士法人山中税務会計事務所

なるほど税務

印紙税#2・・・課税物件適用に関する通則を読み込んで節税

2011年10月13日 10:56

 先月の印紙#1のブログで、土地売買契約書を海外で作成すれば印紙税は不要ですと書きました。
しかしそ実際海外までわざわざ行くのは大変ないので、もうすこし現実的な印紙節税法があります。


 この節税法を説明する前に、少し遠回りですが印紙税の「課税物件表の適用に関する通則」というのを理解しなくてはなりません。


 実務では課税物件表はよく見ますが、その前文である「課税物件表の適用に関する通則」を読んだことがある人は意外に少ないのではないでしょうか?

その「4ホ(2)」がポイントです。

「第1号又は第2号に掲げる文書に当該文書に係る契約についての契約金額又は単価、数量、記号その他の記載のある見積書、注文書、その他これらに類する文書(この表に掲げる文書を除く。)の名称、発行の日、記号、番号その他の記載があることにより、当事者間において当契約についての契約金額が明らかであるとき又は当契約について契約金額を計算することができるときは、当該明らかになる契約金額又は当該計算により算出した契約金額を当該第1号又は第2号に掲げる文書の記載金額とする。」


 具体的には、まず1億円で工事をするという見積書が存在し、その後当事者間で合意したので請け書を作成。その請け書には、見積書のとおり請け負う旨の記載がある場合です。この場合には、請書だけでは契約金額は特定できないが、見積書の記載金額を引用して1億円の請負契約書となり6万円の印紙税が課税されるということです。


 さて、ここで注目すべきは、「4ホ(2)」のカッコ書き「この表に掲げる文書を除く。」です。
この表、すなわち別表第1課税物件表には、1号から20号までの課税文書と非課税物件が掲載されています。従って、金額を引用するのは見積書や注文書のような不課税文書に限られるのです。

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 注文請書に「加工数量1万個、加工料は基本契約書のとおりとする。」旨の記載があり、契約金額が算出できる場合であっても、引用もとの文書が課税文書だから金額の引用はできません。結果、注文請書は金額の記載のない2号文書となり200円の印紙となります。

 この事例は、税務研究会出版局「印紙税実務問答集」の48ページに記載があります。

 この「4ホ(2)」の取扱を利用して土地の売買契約書を作成すれば、なにも海外まで出かけて契約書を作成しなくとも、印紙税は節税可能になります。

 例えば坪単価100万円の土地を100坪、従って1億円で土地の売買契約を締結する場合。
まずは、「坪単価100万円、面積は実測による。」というA土地売買契約書を1通作成します。
そして「A土地売買契約書の土地は実測100坪である」というB土地売買契約書を作成します。

 A土地売買契約書は1号の課税文書ですから、B土地契約書にその記載の引用はできません。従って、いずれの契約書も金額の記載のない1号文書となりますので、各200円の印紙ですみます。

 1億円の土地売買契約書なら6万円の印紙が必要ですが、400円で済みますので、差額で国内旅行くらいは出来そうです。

なお、この事例は講義の中でのお話で、問答集には記載ありませんことを申し添えておきます・・・。

2010/10/13 ky